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先日、X(旧:Twitter)に
大回り乗車なんかするから鉄道会社の赤字路線ができるんだ!
大回り乗車する鉄オタは害鉄同様くたばれ!!!
なるツイートを上げた人がいるみたいです。どうやらこの人、赤字路線ができる理由をよくわかっていないみたいです。
まず、キセルとはどういう行為かと言いますと、両端の区間のみ運賃を支払い、真ん中の部分の運賃支払いを免れる行為を言います。これは、キセルの両端が金属でできていて、真ん中が金属でないことから来ています。もちろんこれは違法です。
では、大回り乗車はというと、最短距離を通らず、遠回りのルートを通る行為を言います。これは全区間の運賃を支払ったことになり、違法ではありません。
ただし、違法ではありませんと書きましたが、これには条件があります。それは、JRの運賃計算の特例で、大都市近郊区間内を利用した場合です。この場合、どのルートを通ったとしても、重複する路線を通ったり、途中下車しない限り、最短距離を通ったとみなして料金を計算するルールになっているんです。なぜこのルールがあるのかというと、大都市近郊区間は多数の路線が入り組んでいて、どの路線を通ったかによって運賃を計算するのが合理的でないからです。
例えば、東京から横浜へ行く場合を考えます。単純に考えたとしても
- 東京から東海道線で横浜へ行く
- 東京から横須賀線で横浜へ行く
この2つのルートが考えられます。だからと言って、どっちのルートを通ったのかを厳密に区別して、運賃計算をして、しかも乗客の切符を確認して正しいルートを通っているかどうかを確認するのは現実的ではないでしょう。
また、SuicaやICOCAなどの交通系ICカード(以下、Suicaと略します)で乗車した場合、乗車駅と降車駅しか判定できず、どの路線を経由したかがわからないケースがあります。そこで、Suicaで乗車できる範囲は大都市近郊区間にして、どのルートを通っても最低運賃を適用することにしているのです。
ここからがキューティー吉本の主張なのですが…
赤字路線ができるのはすごく簡単で、その路線に乗る人が少ないからです。でもって、赤字路線として問題になっているのは、大抵の場合は大都市近郊区間から外れている路線、つまり大回り乗車が認められていない路線です。従って、
大回り乗車なんかするから鉄道会社の赤字路線ができるんだ!
この主張は間違っています。
仮にこの主張が合っていると仮定して、ではどうすればいいのかを考えると、まずSuicaがなくなります。次に、自動券売機がなくなるか、残ったとしてもどの路線経由なのかを指定して切符を買わないと行けなくなります。更に、車内改札を実施して、切符に記載されているルートを通っているかを確認しないと行けなくなります。はっきり言って、こっちの方がよっぽどコストがかかりますし、利用者に不便を強いることになります。
キューティー吉本的に問題だと思っているのは、撮り鉄と呼ばれる人達です。撮り鉄と呼ばれる人達の目的は、鉄道写真を撮ることです。このため、撮影地まで車で行って、列車に乗らない人もいます。キューティー吉本的には、大回り乗車する人達(この人達は運賃を払っている)よりも、列車に乗らない撮り鉄(この人達は運賃を払っていない)からお金を取って欲しいと思います。
最近の傾向として、マナーの悪い鉄道ファンが問題になっているケースがあります。特にマナーが悪いのは撮り鉄。ひどいケースだと列車が緊急停止したり、周辺の土地に無断で立ち入ったり、勝手に私有地の木を切ったりするわけで、これは警察官や警備員を配置して、悪質であれば逮捕していいケースです。
大回り乗車について、決していいとは言いませんが、これを禁止すると鉄道ファンのみならず、一般の人や鉄道会社にも苦労を強いるわけです。しかも、赤字で苦しんでいる路線は大回り乗車できない路線です。従って、
大回り乗車する人=マナーの悪い鉄道ファン
大回り乗車=鉄道会社の赤字路線ができる
この主張は誤っています。
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