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来年3月には、北陸新幹線が延伸開業します・・・て、正しくは長野まで部分開業していたのが金沢まで伸び、今度は敦賀まで伸びるということなのですが。しかし、問題は新幹線に並行して走る在来線をどうするか。実は超過密ダイヤで、これ以上列車本数を増やすには新幹線を通して、特急列車をやめるか減らす以外に方法がない路線ならともかく(・・・て、博多とか札幌とかだったらそうかも)、もともと在来線だけでも採算が芳しくないところもあったりします(・・・て、こっちの方が多いかも)。
ただでさえあんまり儲かっていないのに、新幹線が開業して、特急列車に乗っていたお客が新幹線に流れたら、まず赤字は必至。そこで、新幹線に並行している在来線を、JRから第3セクターに移管しようという話になるのです。
そうすれば、並行在来線が大赤字だったとしても、JRが赤字をかぶらなくて済むわけで、めでたしめでたし・・・ってそうじゃないでしょ。並行在来線を引き受けた会社は、儲からない路線しか持っていないわけです。このままでは、並行在来線を引き受けた会社が潰れてしまいます。なのに、なぜ別会社に移管しようという話になるのか。これにはいくつか理由があります。
1.JRとは異なる運賃を設定できる
当然ですが、並行在来線を引き受ける会社は、JRとは別会社です。運賃は会社ごとに決めるわけですから、並行在来線を引き受けた会社は、JRと同じ運賃にしなければならないという決まりはありません。なので、JRよりも割高な運賃を設定できるのです。
2.JRで使えるフリーパスの区間から外れる
JRには、青春18きっぷや秋の乗り放題パスなど、JRの列車であれば乗り放題になる切符があります。こうした切符は大抵の場合、並行在来線を引き受けた会社では使えません。ということは、これらフリーパスを持っている人からも、運賃を取ることができるのです。
(注:並行在来線に乗れる切符もあります)
3.JRと異なる労働条件を提示できる
これは利用者の皆様とは関連の薄い内容ではありますが、並行在来線を引き受けた会社で働いている人は、JRの社員ではありません。並行在来線を引き受けた会社の社員です。会社が違う以上、JRと労働条件を同じにしなければならないという決まりはありません。なので、JRよりも安い賃金で働いてもらうこともできるわけです。(その代わり、転勤の心配もないかも知れませんが)
かつて旧国鉄がJRに代わった頃、全国各地の赤字ローカル線が廃止になったり、第3セクターに移管されたりしました。これも理由としては、新幹線に並行する在来線が第3セクターに移管されるのと同じです。究極の理由は、JRに赤字路線を背負わせないためです。しかし、これらの路線を運航する第3セクターは、どこも経営が厳しいのが現状です。そりゃあそうでしょう。儲からない路線を引き受けたわけですから。
新幹線が開業したため、並行在来線が第3セクターに移管され、結果として普段乗っている列車の運賃が値上がりして、かえって不便になったという話も聞きます。また、トワイライトエクスプレスが2015年春で廃止になりましたが、あれは一説によると、北陸新幹線が金沢まで開業すると北陸本線が複数の第3セクターに移管されるため、いちいちこれらの会社に運賃を支払わなければならなくなるからだそうです。そうなると、新幹線の開業って手放しで喜べないのかなぁと思ってしまいます。
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