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電気には、直流と交流の2種類があります。直流は、+と-があらかじめ決まっていて、乾電池からの電気は直流です。交流は一定の周期で+と-が入れ替わる仕組みになっていて、コンセントからの電気は交流です。乾電池は+-を逆に刺すと動かないのに、コンセントはどっち向きに刺しても動くのはこのためで、ACアダプタが交流→直流に変換しているのです。
で、電車も直流の電気を使って走るものと、交流の電気を使って走るものがあります。大ざっぱに言うと、関東・東海・近畿・中国・四国は直流、北海道・東北・北陸・九州は交流です。例外は茨城県で、茨城県は関東なのですが交流です。
直流電車は、変電所からの電気を電線(正しくは、架線といいます)からパンタグラフで受け取り、車輪からレールを通して変電所に戻します。なので、架線が+、レールが-です。レールの上を歩いても感電しないのは、乾電池の-だけを触っても感電しないのと理由は同じ。+と-をつながないと電気は流れないのです。
つまり、直流電車は変電所からの電気をそのまま使って動いているのです。
交流電車は、変電所が行うはずの機能を、一部電車が肩代わりします。理屈はACアダプタと同じで、電圧を下げたり直流に変換したりする機能を、電車が行っているわけです。
当然ですが、直流電車よりも交流電車の方が、作るのにお金がかかります。その代わり、交流電車よりも直流電車の方が地上設備のお金がかかるんです。
電気をより遠くに送るには、電圧が高い方が都合がいいのですが、電圧が高いままだと電気製品が火を噴いてしまうので、変電所で電圧を下げてから各家庭に電気を送っています。交流電車は変電所を電車に積んで走っているので、高い電圧のまま電車に送ることができるのです。このため、変電所の数を減らせる分、交流の方が地上設備のコストを抑えることができるのです。
どこが直流で、どこが交流なのかを見ればおおよそ見当がついた方もいらっしゃるかもしれませんが、たくさんの電車が走っている(つまり、それだけたくさんの電車を作らないといけない)区間は直流、それほど多くの電車が走っていない区間は交流です。例外は新幹線で、あれは高速運転を行うためにたくさんの電気が必要なので、交流です。
・・・で、一番コストがかかる電車は、直流区間でも交流区間でも走れる列車、つまり交直流電車です。
交直流電車には、直流と交流の切り替えスイッチがついていまして、直流区間は架線からの電気をそのまま使います。
交流区間では、交流電車と同様に、変電所の機能を一部肩代わりします。
交直流電車は、直流電車と交流電車の両方の機能を持たせないといけない上、切り替えスイッチも必要になるので、どうしても製造コストがかかってしまうのです。
直流電車なのか、交流電車なのかは、実はパンタグラフを見ると分かります。
これが直流電車のパンタグラフです。架線からの電気をそのまま使うので、造りはシンプルです。
これが交直流電車のパンタグラフです。直流よりも高い電圧を受け止めなければならない分、白い絶縁体が大きく、更に切り替えスイッチも積まなければならないので、直流電車よりも部品の数が多いのがわかると思います。
直流区間と交流区間の間にはデッドセクションといって、電気が全く流れていない区間がありまして、交直流電車はここを通過している間に直流-交流の切り替えをしています。常磐線は、取手-藤代間にデッドセクションがあります。常磐線で、取手-藤代間を走っている最中に空調が止まる(電車によっては照明も消える)のは、このためです。
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