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かつて国鉄がJRになった時を同じくして、多くの国鉄の赤字ローカル線が、第3セクターの鉄道会社に移管されました。もっとも、移管されたのならいい方で、廃止になってしまった路線もかなりの数ありました。で、この時期にできた第3セクター鉄道会社が、今ピンチになっているのではないか。ジーン吉本はそう思っています。
ピンチに陥っている理由は、車を利用する人が増えた結果、鉄道を利用する人が減った・・・て、それは前々から言われていること。そうではなく、本当に経営が危うくなる事象が起こっているわけです。それは何かというと・・・
1.設立当初に導入した車両が、交換時期に来ている
国鉄の赤字ローカル線を引き継いだ鉄道会社は、時を同じくして新車を導入しています。で、この当時の新車が車齢20年を超し、置き換え時期に来ているのです。
「えーそんなぁ、JRにはもっと古い列車があるじゃない」
国鉄時代の列車って、かなり頑丈な作りになっているのです。なので、部品をとっかえひっかえして、かなり長く使うことができます。しかし、これだけ頑丈な列車を作ると製造コストがかかる上、重量が重くなってしまいます。そこで今の列車は、軽くて製造コストが安い代わりに、必要以上の頑丈さを持たせない列車が主流なんです。
車体が軽いということは、電気代や燃料費が安くつくわけです。しかも、40年持つ車両を2億円で作っても、20年持つ車両を1億円で作っても、結局製造コストは同じ。だったら、20年持つ車両を1億円で作った方がエコで、しかも初期導入コストを抑えられるのでうれしいというわけだったのです。
しかし、その20年が経過した辺りで、今度は次の新車を買うお金がなくなったというわけです。20年持てばいいという前提で設計された列車である以上、製造後20年を経過すれば外観こそ古さを感じさせないものの、列車そのものはかなりの老朽化が進んでいるといえます。しかも、ディーゼルカーの中古車なんてそうそうあるわけもなく、新車を買えなかった第3セクター鉄道会社は廃線に追い込まれるというわけです。
2.大雨・地震などの自然災害にあっても、復旧費用をねん出できない
これは第3セクターだけではなく、JRのローカル線でも起こりうる問題です。最近では大地震や大雨の影響で、鉄道路線が被害を受けるケースが増えているのではないかと、ジーン吉本は思うわけです。自然災害と言っても、大抵の場合はすぐに復旧できます。(復旧に時間のかかるケースは、この記事をご覧ください)
残念ながら第3セクター鉄道会社の場合、山間を走っているケースが結構あり、復旧難易度が高いんです。一番難易度が高いのが、橋が流されたり、高架線が崩落したケースです。この場合、橋を架けなおさなければならず、復旧には巨額の費用が掛かります。ただでさえ儲かっていない路線を、巨額の借金をして復旧したとても、今度はその借金を返せないという事態になりかねません。そうすると、復旧費用を工面できず、残念ながら復旧することなく廃線ということになってしまうのです。
実のところ、廃止に追い込まれた路線が、ここへきて増えていたりします。鉄道がなくなってしまうのは寂しい限りなのですが、廃止されて困るんだったらなんでもっとみんな乗らないのだろうと思えてなりません。
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