近畿地方の引退列車が地方で活躍できないのはなぜ?

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秩父鉄道線 7800系
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「会うは別れの始め」とはよく言いますが、華々しくデビューした列車たちも、いつかは引退します。引退後は通常廃車になるのですが、中には別の鉄道会社に譲渡されて、第2の人生を送る列車もあります。(それゆえ、旅行へ行っても毎度乗ってた電車に出くわすので、旅行の楽しみが半減するとも思えなくもない)

しかし、首都圏の電車が引退した後、地方の鉄道会社で活躍している例は結構あるのに、関西地区で活躍していた電車が引退すると、大抵は廃車になってしまうみたいです。関西の引退電車がなぜ活躍できないのか。これには、理由があります。

1.線路幅が違う

近畿地方の電車は、近鉄の一部と南海を除いて、線路幅が新幹線と同じなのです。それに対して、首都圏の電車は、京王の一部と京成、京急を除いて、線路幅が在来線と同じなのです。

阪急電車 特急 河原町行き

在来線より新幹線の方が線路幅が広いのですが、これは高速走行をするうえで、線路幅が広い方が車両の安定を保つのが有利だからです。しかし、地方の鉄道会社がそんな高速運転をするわけがなく、大抵は在来線と同じ線路幅なのです。

線路幅の違う列車を導入するとなると、台車の交換は当然として、モーターを含めた足回りを入れ替えないとのダメなのです。ならば、同じ線路幅の電車を入れた方が手っ取り早いというわけです。

2.引退したときの車齢が長い

最近の傾向として、引退した東急の電車が、地方で活躍する例が多かったりします。しかし、これは東京メトロ副都心線の影響が大きいんです。

秩父鉄道 7800系 正面 熊谷駅にて

副都心線が開業して、東急東横線との相互乗り入れが実施された結果、副都心線への乗り入れに対応できない車両は戦力外ということになりました。更に、東急東横線と東京メトロ日比谷線との乗り入れが廃止されたため、日比谷線への乗り入れ対応車両も戦力外ということになりました。結果、車齢30年そこそこの電車に戦力外通告が出されることになり、これらの電車が地方の鉄道会社へ譲渡されたというわけです。

同じような例は、京都でもあります。京阪電車の特急列車です。

京阪電車 特急 淀屋橋行き

京阪電車の鴨東線が開業した際、特急電車の数が足りず、やむなく新型車両を追加したのでした。本当だったら足りなくなった分だけ足すつもりだったのですが、この新型車両が好評で、お客さんはこの新型車両を待ってまで乗る始末。仕方なく、まだ車齢20年そこそこの旧特急電車を引退させ、全車新型に置き換える羽目になったんです。

では、旧特急電車はどうなったのかというと、富山地方鉄道で活躍しています。

富山地方鉄道 10030形 前面 宇奈月温泉駅で撮影

ちなみに、富山地方鉄道の上層部は、この電車があまりにも優秀で、びっくりしたとのこと。そりゃあそうでしょう。京阪電車では、もっと古い電車がまだまだ走ってましたから。

話を元に戻しますと、新線開業その他諸々の事情で、1980年代に製造された車齢30年そこそこの電車が引退しているのが首都圏の電車事情なのです。対して、近畿地区はといいますと、引退しているのは1970年代以前に製造された電車。車齢にして40年以上、場合によっては50年以上経過している電車なんです。

車齢30年ならまだ頑張れば使えるものの、40年以上だと廃車にするしかない、というわけです。

ことでん 琴電琴平駅 ホーム

この他、西日本の中小鉄道会社で、電車が走っている(路面電車を除く)といえば、近鉄から分社した第3セクターを除けば、近江鉄道、一畑電鉄琴電、伊予鉄道、熊本電鉄ぐらい。東日本から比べると数は少ないのは確かです。しかも、一畑電車に元南海の電車が来たぐらいで、後は首都圏の引退電車が活躍しています。琴電も、主力は元京急の電車です。

富士急行 2000系 前面 富士山駅にて

ま、大阪周辺の鉄道会社は、古い電車を大事に使っているということでもあるわけなんですけどね。

(注:写真はすべてイメージです)




ぴえんのイラスト 女性
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