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かつて、こんなことがありました。
ジーン吉本は、富山→東京に行きたくて、富山→越後湯沢へはくたかで行って、越後湯沢→東京は上越新幹線に乗る予定だったんです。で、富山→越後湯沢は指定席が満席で、唯一空いていたのがグリーン車だったんです。仕方なく、ジーン吉本は富山→越後湯沢→東京はグリーン車で行くことにしたんです。(リッチだなーって、普通車の指定席が満席だったんで…)
ところが、ここで問題が起こります。富山→越後湯沢のはくたかが、大雨のため遅れに遅れたんです。結果、越後湯沢→東京の上越新幹線に乗り遅れました。さて問題です。この場合、越後湯沢→東京のグリーン特急券はどうなるのでしょう???
ここは、JR東日本の粋な計らいで、
「次の上越新幹線に乗ってください」
ということになりました。なので、グリーン特急券を持っている人は、次の上越新幹線のグリーン車に乗れて、めでたしめでたし・・・ではなかったんです。
「窓側に座れるからグリーン車に乗ったのに、席が窓側じゃないってどういうこと!?」
・・・と、車掌さんにクレームをつけたおばちゃんがいたんです。何が起こったのか、ここで整理すると・・・
- 切符を買うとき、普通車指定席の窓側は満席で、グリーン車指定席の窓側に空きがあった
- どうしても窓側に座りたいおばちゃんは、グリーン車指定席の窓側の席を予約した
- しかし、予約した列車に乗ることができず、代わりに案内されたのはグリーン車の通路側の席だった
- 予約した列車に乗れなかったのは大雨による列車遅延で、おばちゃんには過失はない
では、JR東日本はおばちゃんに、窓側のグリーン車指定席を用意しなければならないのでしょうか?
答えは、No。残念ながら、JR東日本はこのおばちゃんに、窓側のグリーン車指定席を用意する義務はありません。
なぜかと言うと、指定席券購入時に予約した席は、あくまでも予約した列車のみ有効なので、もしその列車に乗れなかった場合、理由の如何を問わず無効になってしまうからなのです。これは、窓側の席に座りたいから窓側の席を指定した場合も同様で、その列車に乗れなかったら窓側の席に座れるという確約はなくなります。
では、今回のケースのように、乗客に落ち度がないのにグリーン車指定席が利用できなかった場合は、どうなるのでしょう。この場合、旅客営業規則で定めらているのが・・・
- 同一方向の他の列車に乗り、旅行を継続する
- 旅行を中止し、切符を払い戻してもらう
(この場合、出発駅まで無償で引き返すこともできる) - 切符を一旦預けたうえで、有効期限を延長してもらう
・・・という対応を取らなければならない、ということです。また、列車が2時間以上遅れた場合、特急券は払い戻しです。
ここで大事なのが、「同一方向の他の列車」という点でして、座席に関する規則はありません。このため、JR東日本は代わりの列車を提供できれば、義務を全うしたことになるのです。
(当然ですが、グリーン車指定席を持っている乗客へは、代わりのグリーン車を提供しなければいけません)
なぜかと言うと、同じ条件の席を提供できるという保証ができないからです。なるべくわかりやすい例を出すと、Maxときの2階席の指定席特急券を買ったんだから2階席に乗せろって言われたって、後続の列車がMaxじゃない普通の新幹線だったら、2階席はありません。また、スーパービュー踊り子号の展望席に乗りたくてグリーン車指定席特急券を買ったんだから展望席に乗せろって言われたって、後続の列車が普通の踊り子号だった場合、展望席はありません。
つまり、同じ形式の列車を確保できるとは限らない上、後続の列車の指定席特急券を持っている人がいる以上、同じ席を確保できるとは限らないのです。また、旅客営業規則上、窓側の指定席特急券を持っているからといって、代わりに用意した列車も窓側の席を確保しなければならないという義務はないのです。なので、JR東日本はおばちゃんに、窓側のグリーン車指定席を用意する義務はなく、どこでもいいからグリーン車指定席を用意できればいい、ということです。
では、このおばちゃんが・・・
「窓側に座れないんだったら、グリーン車に乗らない。自由席に乗るからグリーン料金を返して!」
・・・と言ったらどうなるのでしょう。この場合、グリーン車と自由席の差額を返してもらうという対応ではなく、
- 車掌さんにグリーン車指定席特急券が未使用であることの証明をもらって
- 車掌さんから自由席特急券を買って
- 駅に着いたら改札口で、グリーン車指定席特急券を払い戻してもらう
・・・ということになるでしょう。(もっとも、こんな時の自由席って、そもそも座れるかどうかが問題なのですが・・・)
折角の旅行なんだから、窓側の席に座りたいという事情はわかります。しかし、残念ながら窓側の指定席特急券を買ったとしても、乗り遅れたら100%窓側の席に座れるとは限らないわけですね。一方で、こういう大雨や大雪でダイヤがずたずたになっているときって、大抵の場合は命からがら帰ってくるケースが大半で、窓側の席に座りたいなんて言ってる場合じゃないんです。そんな中でも座席が確保されているというのは、ありがたい限りなんですけどね。
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